Keso de Bola とは、 「表面は赤いのに中は黄色い」フィリピンのボール型チーズ。転じて日和見主義者。       かつてお世話になった、現地の言葉で「灯台」と呼ばれるマニラ湾岸のスラムを、ガラス越しに。
管理人sagingより
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またマニラへ

明日から3週間、マニラに行ってきます。期日前投票もしてきたし、気合だけはばっちりです。
今回は通訳の仕事ではなく、100%調査目的の渡航。とある研究プロジェクトから渡航費を出していただいての調査で、フィールドはケソン市のバランガイ・パヤタス。あの有名な、スモーキーバレーとも呼ばれるゴミ捨て場があって(スモーキーマウンテンはトンドで、1995年に閉鎖されている)、数え切れないほどのNGOが入っていて、日本からのスタディツアーグループが大挙して押し寄せる、あのパヤタスである。初めからパヤタスに行きたかったわけではなく、この研究プロジェクトのテーマに合致するような国際援助機関のプロジェクトを探していたら、アジア開発銀行の貧困削減プログラムの対象地となっているこの地域が見つかったのである。このプログラムの特徴は、
1) 立ち退きではなくスラムの開発(On-site Development)を前提としている
2) 実施機関は政府機関ではなく現地のNGO
3) アジア開発銀行を通しての日本国からの援助である
ということで、私も非常に関心がある。

私はパヤタスに数回しか行ったことがなく、背景知識もないので、この調査が決まった1ヶ月前からフィリピンの友人たちにコンタクトを取り、協力を求めた。
オーガナイザーの友人たちは、その広い人脈を駆使して、パヤタスで働く彼らの友人に私のことを紹介してくれた。そして、私がマニラに着いてすぐにパヤタスに入り、上記の当該NGOの担当者とコミュニティの人々と会えるように話をつけてくれた。
彼らとて内心では
「3週間の駆け足調査で何がわかるんだ、sagingは俺らが1年かけて教えたことを何もわかってないな」
と思っているに違いない。それでも、彼らは私の短期調査のために段取りを整えてくれた。
きっと私がマニラに着いたら
「君はすっかりアカデミックな調査者になってしまったな」
と、思いっきり嫌味を言われるだろうけれど、言ってもらえるならありがたいと思う。

フィリピン大学とアテネオ・デ・マニラ大学のアカデミックな友人たちは、パヤタスの政治社会的状況について書かれた論文や資料を教えてくれた。研究所や図書館に勤める知人たちは、私のためにすでにそれらを集めてくれている。

アメリカにいる武母威こと友人Cは、パヤタスに関する資料をアメリカから大量に郵送してくれたうえ、ケソン市にある彼の実家の勉強部屋(とそこにある文献や資料)に自由に滞在していいといってくれた。彼のおかげで、私はパヤタスに程近い彼の家に寝泊りし、彼と同様にスクワッターであった経験のある彼の弟さんたちに調査を手伝ってもらえることになった。

…と、恵まれすぎるくらい恵まれている今回の調査。彼らに支えられて、金銭的にも支えられていて、その上、現在の指導教授の先生も、途中で調査の進捗状況を見に来てくださる。フィールドにご一緒してくださるかもしれない。真剣にやらなくては。いや、いつも真剣だけれど、私のために、こんなに多くの人たちが協力をしてくれるのかと思うと、私は言葉を失う。

だから、というわけではないけれど、私は、日ごろからお仕え申しあげている研修生たちから、家族へのお土産品やお金をたくさん預かってきた。今回の滞在は、私の通訳の仕事とはまったく関係がない。私はいま休暇をいただいている身で、これから3週間は、いかなる給与も発生しない。それでも、私は今回も、時間の許す限り、彼らの家族に会うか、電話で話すかしようと思う。帰ってくるときには彼らにたくさんお土産を買ってきて、彼らと彼らの家族を少しでも喜ばせたい。それが私の仕事でも、経費でもなくても。なぜなら、フィリピンの友人たちは、仕事でもないのに、好意から私にさまざまな便宜を図ってくれているのだから。
私の働いている会社の現地のカウンターパートのスタッフたちもまた、「仕事ではないのに」私を空港まで迎えに来てくれるという。私が研修生たちからたくさんの預かりものをしているから、というのがその理由だが、彼らも、私が仕事でマニラに行くわけではないことはよく知っている。

食べていくためには仕事が必要だし、だからこそ私はいまの通訳の仕事をしているわけだけれど、たぶんこれからも私は、義務や報酬ではないものによっても動かされていくと思う。それは、義務や報酬ではないところで動いている多くの愛すべき友人たちに啓発されているからにほかならない。
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by saging | 2005-09-05 22:55 | フィリピン研究