Keso de Bola とは、 「表面は赤いのに中は黄色い」フィリピンのボール型チーズ。転じて日和見主義者。       かつてお世話になった、現地の言葉で「灯台」と呼ばれるマニラ湾岸のスラムを、ガラス越しに。
管理人sagingより
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 先日、直属の上司に初めて、1対1で飲みに連れて行ってもらいました。
 とても小さい職場ですから、特に改めて飲みに行く必要もないくらい一日中ずーっと一緒に仕事をしているのですが、そして、上司も私も決して「飲みニュケーション」信奉者ではなく、必要なやりとりは勤務時間内にさんざんしているのですが…、上司も私もお酒が好きなので、改めて。
 そのとき、私は思い切ってこう言いました。
  「面接でも申し上げましたが、私はここ14年くらい、日本のNGOが大嫌いでした。はっきり申し上げて、憎んでいました。そのことで、業務に支障をきたしているのではないかと心配です。たとえば私は、NGOの集まる会議やイベントに出席しても、ほかの参加者とは挨拶以外にはろくに口もきけないし、普通にsocializeすることができません。仕事だからと割り切ろうとしても、できません。政治家の事務所に勤務していたときは、自分の信念を曲げてよくわからない政治家の方々や財界人の方々にいい顔をすることができたし、仕事だと割り切って地方有力者に頭を下げることもできました。でも、いまはできません。だってNGOですから。割り切れません。今後、割り切れるように努力はしますが、いまはできません。そのことで私は組織にマイナスを与えているのではないですか。気になる点があれば、どうか指摘してください。」
上司は言いました。
 「憎んでいた、とまで言われるとちょっとびっくりですが、でも、そこまでNGOを嫌ってきたというのは、sagingさんの財産ですよ。引け目を感じることはありません。日本のNGOに必要なのは、熱血な人たちじゃなく、NGOを客観的に見られる人材です。だから私たちはあなたを採用したんです。国際協力したい、人の役に立ちたい、困っている人を助けたい…そんなふうに思っているだけの人は、うちでは絶対に採用しませんから。NGO嫌いでも、シニカルでもいいんです。むしろ、日本のNGOにはそういう人が必要です。だから、無理をしてまで他のNGOと交流しようとする必要もないし、テンションの違う人たちに自分を合わせようとする必要もないんですよ。」

 …それは、この14年で最大の承認の言葉でした。
 マイナスの感情でしかなかった「日本NGOへの嫌悪感」を、逆に「財産」として評価してもらえるなんて。
 研究をしても論文を書いても克服できなかった自分のコンプレックスが、こんなところで解消されるなんて。

 先週は、上司がアフリカ某国の実情についてリクジの朝霞駐屯地で講演&意見交換をすることになり、私も連れて行ってもらいました。
 上司は決してミリヲタとかではありませんが、安全保障を専門とし、長いあいだその分野で研究をしてきた人なので、戦闘機や武器の種類にやたらと詳しく、敷地内に入っただけでとても嬉しそう。NGOの分際で、PKOの広報戦略や民生支援として現地で予定されている事業について好き勝手にコメントしていました。先方出席者の大半は、PKO部隊経験者もしくは派遣予定者。フィリピンや諸外国なら、このように治安部門と直接意見交換を行うようなNGOもありですが、日本のNGOではなかなか、たぐいまれなる存在だと思います。日本では、シンクタンクとNGOが完全に分かれているからでもあるのでしょうね。もちろん、特定非営利法人のシンクタンクもありますが、そういうのはだいたい、すでに元政治家や評論家として活躍している人や、大学で職ををもっている人が理事長を務めるなど、その団体の顔となる人のための組織、という側面がとても強いです。組織として、日本/海外の治安部門と互角にわたりあい、単に安全保障政策や現地情勢について意見交換を行うだけでなく(それはシンクタンクがやっています)、現地を知る立場からこその提言のできる団体というのは、まだ日本には存在しないのではないでしょうか。

 
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写真は、駐屯地内の売店で購入した「自衛隊グッズ」のお菓子。右は上司が、左は私が厳選の上チョイスしました。「専守防衛」ってところがすごいです。これ、どこで作ってるんでしょうね~。国会内の売店で販売されている限定グッズ(国会議事堂のイラスト入り文房具や歴代総理の似顔絵入り湯呑、「イラ菅キャンディー」、「がんばるノダ・どじょうかりんとう」、「衆参ねじれ国会・ねじり棒」、「一兵卒でがんばっています・まめまめしく働いています・まめ煎餅」…などのオヤジギャグみたいなお菓子のデザイン元のあそこと同じでしょうか!?)
 なお売店の一角にはほかにも、迷彩柄の日用雑貨(靴下などの衣類から便利グッズまでぜんぶ迷彩)、特殊な蚊よけなど、御茶ノ水のアウトドア専門店でも見られないであろうアイテムが満載でした。私は、椅子つきリュックなどのサバイバルグッズに目が釘付け。遠隔地方でのフィールドワーク用にほしいです。(もちろん、迷彩柄だから買いませんが…。)

 先週末は、「たまたまフィリピンをフィールドとする政治経済学者」の研究会でした。楽しかったし、ものすごく刺激的でした。中堅研究者の先輩方(私は勝手に「兄貴たち」と呼んでいますが)の、フィリピン政治経済を切るための理論と問題分析が秀逸でした。私もああなりたいです。というか、私も年齢的にも、あるいは博士課程修了後の年数から考えても、そろそろ「若手研究者」じゃなくて「中堅研究者」と呼ばれてもおかしくない頃です。果たして、それなりの責任を果たせてきたのか。再来週のフィ●ピン研究会全国フォーラムでの報告ではそれなりのことをしたいと、必死です。
 その前に、来週は開●学会の都市貧困部門系の部会で報告させていただきます。これまで敬遠してきた人たちと、同じ土俵で話ができるようになりたいと思って、これも四苦八苦でレジュメを作っているところです。
 
 我が職場では、このような「職員の個人的な研究活動」は推奨されてはいますが、貧乏暇なしのNGOワーカーのこと、残業も多く、なかなかまとまった研究の時間を確保することもできません(NGOにかぎらず、どんな職業でも同じだと思いますが)。私も、ようやく覚えた会計知識で事務所の複式簿記をもとにデータを抽出したり(ピボットテーブル万歳!)、役所に提出するためのプロポーザルや予算書や報告書を書いたり、駐在事務所からのメールに対応したり、インターンへのケアをしたり、といったロジスティックな仕事ばかりに追われがちです。
 そんななか、我が上司は始業2-3時間前に出勤し、静かなオフィスで、自身の研究活動やまとまった作業をしています。前日の業務が深夜に及んでも、です。そんな姿を見せられたら、私もあれこれ言い訳せずにひたすら頑張ろうと思うしかありません。
 とりあえずは私も、始業2時間前までに出勤して研究活動をするようにしています。この時間帯って、オフィスも静かだし、自分の頭もびっくりするくらいクリアで、研究活動には最適です。これまで私はけっこうな夜型で、研究活動は深夜にしてきたのですが、これからは朝にしようと思います。特に夏は、まだ暑さや強い日差しに汚されていない朝の綺麗な空気を生かさないともったいない、という思いにさえなっています。これを機に朝型人間に転換できるといいのですが。
 
 私は、いまの職場で働けることを、とても幸せに感じます。
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by saging | 2012-07-03 00:48 | その他